ゼロ・レクイエム
100213真南風の唄前嶋様より








それは、世界を変えようとした彼からの鎮魂歌。
世界への、破壊される世界への───鎮魂歌。
その歌には、古き【ゼロ】の別離が。
新しき【ゼロ】への、高らかな歓喜が含まれていた。

古き【ゼロ】は──新しき【ゼロ】へと生まれ変わる。
意志を継ぎ、魂を譲り渡して。
これから生きるゼロ。
これから去るゼロが───
互いの魂を交換した、証───



********


もう戻れない。
もう引き返せない。
僕たちは決断した。
覚悟した。
僕たちはこの世界を変えるために、この世界を離脱する───


【ゼロ・レクイエム】直前。
少年皇帝と、公式上死亡扱いとなっていた皇帝唯一の騎士・元ナイトオブゼロである僕は、地下に居た。
そこはトロモ機関が創設した、黄昏の間に繋がる神殿。
黄昏の間は破壊され、Cの世界へと繋がる神殿は、この世界にはごく僅かに残すのみとなった。
彼は、忌み嫌った。
自身のギアスを。
永遠の若さと命を授かるコードを。
手段としてのみ使役していたギアスもコードも。
その、人の世にあってはならない、授受の力を。

『……私のコードは……どうするんだ?』
『僕にかけたギアスは、どうなるんだ?』
数々の難題を残しつつ、彼は決断した。


"───そう。"
僕達の非道なやり方は、世界の誰からも受け入れてはもらえないだろう。

"僕たちは罰を受けなければならない。"
悪逆皇帝とその騎士は、地獄の業火に焼き尽くされなければ。

"人の心を捻じ曲げた罰を。"
ギアスの力───絶対の、力。

"自分の心を捻じ曲げた罰を。"
ついてはならなかった嘘。隠していた真実。

『撃っていいのは』
最悪な手段を手に入れた魔王は。

『撃たれる覚悟のあるヤツだけだ』
最悪の結末を甘受しなければ。

『スザク、お前は生きろ』
それでも誰かは世界を繋げなければ。

『生きろ』
命じられ、驚愕を返した。

彼のギアスによって、生き残る……
───残される、僕。

最悪な手段を行使した皇帝は。
地獄の門をくぐるため、最後に残った一枚の白い羽を。
生涯ただ一人の騎士に手渡した。

世界を。
やさしい世界を創れ、と……
潰れそうな心を抱え、目を閉じて俯くナイトオブゼロ。

『───……。』
ゆっくりと彼の足元に傅(かしず)き、皇帝服の裾にキスを施す。

『イエス ユア マジェスティ』
これもまた───契約。……遺言?

一瞬の間で立ち上がった僕は、彼の顔に指先を伸ばし。
白い装束と身体を丸ごと抱きしめた。

『スザク…?』
彼の肩に顔を埋めながら、目を瞑り、涙を堪えた。

"───忘れたくない……。"
やっと解けた誤解。
やっと手に入れた真実。
やっと手に入れた……

『どうした…?』
抱きしめる僕に微かな笑みを含んだ彼の声。
抱きしめた腕に自然と力がこもる。

"───忘れたくない"
……なのに───また、失う。
確かめたくて。
僕は、彼の後頭部を支え手を顎にかけた。

"──君のその声も、匂いも、感触も。"
その音も、香りも、ぬくもりも。
また僕のものにはならない……

見えなくてもわかる。近づく距離。
あと5cm……

"全部…"
愛おしいものを包み込むように、両の頬を挟む。
あと1cm……

『…!』
僕らは、目を閉じて。
キス。をした。
唇で。
交わしきれない程の言葉を交わした。

"ルルーシュ…"
思い浮かぶのは、懐かしい……優しいルルーシュの笑顔───

"誰にも譲るつもりはない。"
僕のものにはならない君。
だが、君は僕に「魂」をくれた。

"君を殺すのは、僕だ。"
自らの命を、僕に……僕と世界に捧げ───
僕に【ゼロ】という新たな息吹を流し込んだ。

懐かしい顔で微笑む君の、最期の微笑が。
写真の笑顔とダブる。

あぁ、僕は……

「ル…ルルーシュ…。」
君を永遠に手に入れた……
僕の……心、と引き換えに───






なんと!MADから引用して書いてくださいました><
ややや…初めて拝見したときはもう、鳥肌…立ちまくりでした><
自分のあんな稚拙な文章から、こんなにすばらしく拡げて下さるなんてもう…もう…感謝で感激で…;;;;
本当にすごいです><
文字を書かれる方の世界観というか言外の捉え方というか間の捉え方というのはほんとにすごい…、です。
なんていうか、ううっ…(´;ω;`)だめだ、うまくかきあらわせられない、、、日本語下手な自分がくやしいぜ…
とにかくもう…ほんとにうれしかったです><><><
前嶋さんお人柄も大変謙虚な方でいらっしゃって、そうとうかしこまってお送りくださったのですけれども、
いやもう、ほんと、自分の方こそこんなすばらしいものを頂いてしまってちょうちょう恐縮で御座います><
また是非お話してやってください…!有難う御座いました!!!


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